はなのうきばし

徒然なるままに、そこはかとなく。

国際結婚したら苗字はどうなるのか

外国人と結婚したよと報告すると、ほぼ全員に「国籍はどうなるの?」と「苗字は何になるの?」と聞かれました。

 

 

国籍はどうなるの?

国籍は国によるみたいですが、ハンガリー人やポーランド人と結婚する場合は、結婚しただけで国籍が変わることはありません。

子供が生まれた場合、その子供は両親のそれぞれの国籍を取得しますので、二重国籍になります。多くの国では二重国籍は当たり前のように認められていますが、日本では認められていません。そのため、日本国籍と他国の国籍をもつ子供は22歳までに国籍を選択しなければなりません。

 

苗字は何になるの?

周囲の反応

日本では戸籍制度の影響で、夫婦は必ず同じ苗字を持たなければなりません。そして変えるのは女性がほとんどです。そのため、日本人の友達からは「苗字は何になるの?」と聞かれるのです。しかし、ハンガリー人含む外国人の友達からは「苗字はどうするの?変えるの?」と聞かれました。

これは、夫婦別姓が選べる国だからこのような聞き方になるのだろうと思いました。

「日本では夫婦は同じ苗字じゃないといけないんだよ。」と外国人の友達に伝えると、みんなとても驚いていました。

 

苗字の選択肢

日本人同士であれば夫婦は苗字を揃える必要がありますが、国際結婚の場合は相手に戸籍がないので夫婦別姓を選択することも可能です。

ポーランドでは、結婚後の名前を「自分の姓ー相手の姓+自分の名」とすることができます。これであれば、自分の苗字を変えずに相手の苗字も持てるので、私はこれを選びたかったのですが、残念ながら日本の法律でこれは認められていません。

日本国籍保有者は、苗字は一つしか持てないからです。

苗字を「自分の姓ー相手の姓+自分の名」にすると、苗字を2つ持つことになりますので、「元の苗字 → 元の苗字+相手の苗字(これで一つの苗字とする)」という変更の手続きを家庭裁判所で行わなければならず、とんでもなく面倒なことになります。

そのため「相手の苗字に変える」or「元の苗字を保持する」の2択となりました。

 

f:id:mk_tm:20210227042605j:plainGerd AltmannによるPixabayからの画像

私の場合

迷いに迷った挙句、いくつかの理由で私は「元の苗字を保持する」を選択しました。

夫婦別姓です。フルネームが変わらないので、結婚後も身分証などの書類を何も変更する必要なかったのでかなり楽でした。

そして「元の苗字を保持する」を選択した理由は以下の通りです。

  1. カタカナの苗字に抵抗があった。

    結婚したのであれば、苗字は旦那さんのものになるのが普通じゃないのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも私は、自分の苗字がカタカナ表記になることに少し抵抗がありました。夫の苗字は当然アルファベット表記なのですが、日本ではアルファベットの名前を登録できません。そのためカタカナになります。なぜわざわざカタカナにしないといけないんだと感じ、気が進みませんでした。

     

  2. ハンガリーでまた滞在許可証やパスポートなどすべての重要書類の名前を書き替えないといけない。

    ハンガリーではただでさえ滞在許可証の申請に多大な労力を要するのにまた移民局いくのかと思うと鬱すぎて、そのままでも良くない?ってなりました。

     

  3. 将来子供が生まれた場合、私が日本の苗字を保持すれば、その子も日本の苗字を受け継げる。

    先ほども少し触れましたが、子供が生まれた場合その子はポーランドと日本の国籍を持つことになります。日本の国籍であれば日本の苗字を持っているほうが将来日本で生活するとなった場合生活しやすいのではないかと思いました。10年、20年後のことは分かりませんが、今現在ではカタカナの苗字=外国人と思われ嫌な思いをする子もいると聞きました。結果、子供はポーランドでは夫の苗字、日本では私の苗字を受け継ぐようにしました。

     

  4. 自分の苗字が好きだった。

   私の苗字は少し珍しく、今まで同じ苗字の人に会ったことがありません。昔は、            結婚しても苗字変えたくないな~などと思っていたことも思い出し、せっかく選            べるし自分の名前が好きなのだから元の苗字のまま生きようと思いました。

 

他の人たちはどうしてるのか

国際結婚した他の日本人の方はどうしているのでしょうか。私も苗字を変えるか結構迷ったので、知り合いの日本人の方に色々聞きました。

「夫の国では夫婦別姓が普通なので変えてない」という人もいれば

「日本で外国人夫と住むので日本の苗字を保持した」という方など

理由は様々でしたが、私の知り合いの方は苗字を変えてない方が多かったです。

ですが皆さん口を揃えて仰っていたのは、

『苗字を変えてなくても何も困ったことはない』でした。ヨーロッパでは、ハンガリー人でも苗字はドイツ系だったりスラブ系の人もいます。日本のように明らかに日本名以外は目立つというようなことは起きないので、誰も気にしないようです。ポーランドでは旦那さんの苗字に変える女性が多いので、「どうして変えなかったの?」と聞かれたこともありますが、理由を説明すれば「そうなんだ~」くらいの反応でした。そもそも夫婦別姓でも驚かれないので私も今のところ特に不便に感じたことはありません。

 

苗字を選ぶ自由

日本では夫婦、つまり家族は同じ苗字を持つことが当然で、私も結婚したら苗字は変わるんだと思い込んでいました。日本では、思ってる以上に苗字は大切で、結婚も個人同士というよりは家同士の結びつきになるような感覚が今でもあると思います。

私もこの感覚がある中で育ったので、苗字を変えないでも良い選択肢が急に出てきて戸惑いました。家族で苗字が違うってどうなんだろう?というのが最後まで頭から離れませんでした。でも戸惑ったということは、気づかないうちにやはり苗字を変えることに抵抗があったんだろうと思います。生まれた時から今まで共に生きてきた名前で、この名前があるから自分は自分なのではないかと。苗字を変えない決断をするまでたくさん考えました。最終的には、上記で述べたような理由と、夫が「変えなくてもいいでしょ!^^」と家族で苗字が違うことにさほど違和感を感じていなかったのでそのまま元の苗字を保持することに決めました。

昨今、日本でも夫婦別姓を認めてほしいという活動も活発になっています。私も夫婦別姓でも夫婦同姓でも本人たちの考え方によるものなので、お互い納得できればそれで良ければそれでいいのではないかと思います。色々法的にも難しいところはあるのでしょうが、近い将来、日本人同士の婚姻でも苗字を選ぶ自由が認められると良いですね。