はなのうきばし

徒然なるままに、そこはかとなく。

ポーランドのクリスマス

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sujuによるPixabayからの画像 

 

早いものでもう12月ですね。12月と言えばクリスマス。ポーランドはカトリックの国なので、クリスマスは盛大にお祝いします。

この記事では、ポーランドのクリスマスの習慣についてご紹介したいと思います。

 

 クリスマスの過ごし方

ポーランドでは12月24日~12月26日の3日間がクリスマスとなっており、12月24日は「クリスマス・イブ」、12月25日と26日の2日間が「クリスマス当日」で祝日です。イブは平日ですが、多くの人はお休みを取ったり、お店も午後3時頃には閉まることが多いです。クリスマスが約3日間もあるなんて、日本のお正月みたいですよね!

実際こちらのクリスマスは家族と過ごす大切な祝日で、家族そろって夕食を囲み、親戚を訪ねたりして過ごします。

※残念ながら2020年のクリスマスは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5人以下(一緒に住んでいる場合を除く)で過ごすようにと政府からアナウンスがありました。我が家も他の家族を訪ねるのは中止となりました…。

 

ポーランドのクリスマス習慣

クリスマスは家族と過ごす祝日というのは、ヨーロッパなどの多くの国々で共通していますが、各国それぞれ独自のクリスマスの習慣が存在します。

ここからは、恐らくポーランドだけであろうユニークなクリスマスの習慣についてご紹介したいと思います。

 

①テーブルクロスの下に藁を敷く

藁を敷くといっても、一掴みをテーブルクロスの下に隠す程度ですが、これはイエス・キリストが馬小屋で誕生したお話が由来しています。聖母マリアは馬小屋でイエスを産んだため、藁はその馬小屋のシンボルとなっており、イエスの誕生を祝うクリスマスにテーブルクロスの下に藁を敷く習慣があります。

 

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少しだけ藁をテーブルに散らして、テーブルクロスを掛けます。

 

②オプワテク(opłatek)でお互いの健康を祈る

オプワテクとは、小麦粉と水で作られた薄いウエハースのようなもので、イエスやマリアの絵が描かれています。24日のディナーの前に家族でお互いに健康と幸福を祈って挨拶をするのですが、その時にこのオプワテクを持って行います。

挨拶の流れとしては、

・相手と自分でそれぞれオプワテクの角持つ

・健康や幸福を願う言葉を送る(この時ハグやチークキスをすることが多いです。)

・挨拶が終わったら、オプワテクを折って一部をもらい、それを食べる

一枚のオプワテクを持ってうろうろするので、全員に挨拶し終わったら手元には小さな欠片だけが残ります。家族内でも特にオフィシャルな雰囲気のある時間だなと思います。

 

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オプワテク (opłatek)

③24日は、魚以外のお肉は食べない

クリスマスと言えば、七面鳥の丸焼きやローストビーフなどのお肉を使ったご馳走を食べるイメージがありませんか?私も初めてクリスマスイブのディナーにお呼ばれした際は、どんなお肉料理が出るのかとワクワクしていましたが、七面鳥はおろかハムやソーセージなんかもありませんでした。24日のディナーには主に魚をメインに据えた食事が用意され、25、26日は鶏肉・豚肉を使った豪華な料理がテーブルに並びます。では、なぜ24日の夜にお肉を食べないのでしょうか。

もともとカトリック教会の法律で24日の夜はお肉を食べないようにと禁止されていましたが、1983年カトリック教会は24日のディナーでお肉を食べても良いと法律を改めました。それでもポーランドのカトリック教会は2003年まで肉食禁止の法律を保ち続けており、人々の間ではそのまま習慣として根付き続けているらしいです。

(※諸説あり) 

 

④クリスマスイブのディナーでは、食器を人数より1人分多く用意する*1

家族でクリスマスディナーを囲む際、ポーランドでは食べる人数+1人分(お皿は空のまま)の食器を用意します。クリスマスの日、人々は全てを許し優しい心を持たねばならないという考えがあり、余分に用意された食器には、空腹で飢えた見ず知らずの人が訪ねてきてももてなせるようにという意味が込められています。

 

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一人分多く用意された食器と座席(器にスープが入っていますが、手前の器は空です。)

 

⑤クリスマスイブの夜は家族みんなでホームアローンを見る

ホームアローンはポーランド語で

「Kevin sam w domu(ケビン サム ヴ ドム):ケビンは家に一人」です。ポーランドの人はこの映画のことを「ケビン」と呼んでいます。

2003年から毎年12月24日の夜にホームアローン(またはホームアローン2)がテレビで放送されており、もはやクリスマスの風物詩と言っても過言ではないくらい欠かせないものになっています。2020年のクリスマスにもホームアローンが放送されることが決定しました!私はポーランドで数回クリスマスを経験しましたが、既にホームアローンを見ることを当たり前に感じています。

2011年に一度ホームアローンの放送がないことが発表されたそうですが、ケビンのないクリスマスはクリスマスじゃない!と思う人が、特に若い世代では多かったようで、Facebookで放送の嘆願ページが作成されるほどだったとか。結局、2011年にも無事テレビ放送されました。

日本でなら大晦日には、紅白やガキ使など家族でのんびりしながら見る定番のテレビ番組があるように、ポーランドにもお馴染みのテレビ番組があることに、国は違っても同じような感覚があるんだなとほっこりしました。

 

日本とポーランドではクリスマスの習慣がかなり違いますよね!

日本ではクリスマスには恋人とデートしたり、友人とケンタッキーやケーキを食べてパーティをすることが多いという話をヨーロッパでするとかなり驚かれます。

 

ポーランドの冬は暗くて寒さも厳しいので、そんな鬱屈とした冬に訪れるキラキラした暖かいクリスマスはポーランド人たちにとっては私の想像以上に大切で楽しみにしている行事のようでした。彼らの思いや習慣に触れるうち、私自身もクリスマスは特別なものと感じるようになりました。

 

ポーランドに限らず他の国でも様々なクリスマスの習慣があると思います。

そういったものを調べて日本で楽しんで、いつもとは違うクリスマスを過ごしてみるのも良いかもしれません^^

 

***** おまけ *****

ポーランド語とハンガリー語のメリークリスマス!

 ポ:Wesołych Swiąt! (ヴェソウィッヒ シュヒョント!)

ハ:Boldog Karácsonyt! (ボルドッグ  カラーチョニ!)

 

***** 参考 *******

https://amu.edu.pl/uczelnia-badawcza/popularyzacja-nauki/artykuly-popularyzacja-nauki/profesor-aldona-zurek-opowiada-o-swietowaniu-polakow

http://zsm1krakow.pl/Core/files/wigilia-zwyczaje.pdf

*1:元々は土着の信仰で、故人が訪ねてきてこの空席に座るというものがあったそうです。その習慣が、ポーランドにカトリックの信仰が入ってきた後に形を変えて残ったそうです。